たとえばこの「おおきなかぶ」にしてみても、
「えーあんなによく出来てたのに、また壊しちゃったの?」
と思うんだけど、先生の中では納得いかないから
時間のある限り挑戦しようとするんですよね。
大体、もう90歳にもなられて、名前も出て、
本当は誰が見てもいいんじゃないって
いうはずなんだけど、先生の中で「やっぱりいいものを
子どもたちには見せないといけない」というのがあるんで、
自分の出来る限り、ぎりぎりまで何回も何回も
やり直しをするのだと思いますよ。

だんだんだめになることもあるけどね。
でも何回もやり直したものは、
その時には うまくいかなかったなあと思っても、
後になってみると、なんかいいところが
あるなあと思うこともあるんだよね。

こつこつこつこつやって生まれた作品というものには、
何かそういう、「人間の思い」というものを、
観る人に伝える力があるんじゃないかなあと
僕は思うんだけどね。

本当に、夢のような時間でした。
しかしながら、夢と思えるような、
甘い空気は、アトリエのどこにもありませんでした。
このインタビューの後、笹戸千津子女史から、
佐藤忠良先生と安野光雅先生の対談集、
「ねがいは普通」 という本をいただきました。
女史いわく、「若い方に読んで欲しい」ということです。
実際読んでみると、今回のインタビューと重なる部分が
多く、もちろん、安野先生との対談ということもあって、
今インタビューよりももっともっと深く味わいのある
お話になっています。

佐藤先生のことをもっと知りたいと
感じていただいた方は、是非御一読下さい。

今回のプレゼントは、
絵本「こどものとも」サイン本です。

御希望の方は、こちらからどうぞ