そこで探求心が生まれるかどうかが
分かれ目だということですね。
でも今は、情報のスピードが速くて、
まあ、音楽やデザインの分野でもそうですけど、
新しいものをどんどん吐き出して、
消費しないと回らないという
考え方がありますよね。
そういった中で立ち止まって、「いい」と感じて
追求していくことは難しいように思えるのですが。




うん、日本でなかなか…たとえば家具にしても
デザイン的に優れたものコピーやスタイルじゃなく、
いわば「本物」が根付かないのも、
そういった消費のスピードの速さに原因があって、
そこから消費者の勉強不足が生まれてきてるもんね。
安い店とかで「あっかわいい」とかいって
買っちゃう子たちは、 知識の範囲の狭さから
そういった消費行動にでるんだと思うよ。
でも実はさ、
それにはちゃんとした基となるデザインがあって、
それを捻じ曲げたかたちでコピーして、
賃金の安いところで作ってという流れの中で
生まれたものなんだよね。
当たり前のことだけど、やっぱりそういったものには
本物の魅力なんてある訳なくて、
結果的には買った人は何の得もしない。
でもそうやって安物をはやく循環するシステムってのが
日本には出来あがってるんだよね。




じゃあそういった日本のシステムの中で
自分を持って生きていくにはどうすればいいと思います?



「金がないと本物が手に入らない」と思うとだめだね。
僕は基本的に「金を持ったから豪邸を建てる」
っていう 感覚は 好きじゃないし。
ちゃんと意識を持った人っていうのは
どんなにジリ貧でもその美意識を貫いてると思うし、
「買える範囲だから買う」
というような発想じゃなくって、
「ないものは自分で創る」
ぐらいのことを考えていると思うよ。
たとえば僕も中古でいいから
いつかは所有したいのが 「フェラーリ」
「そんなバブリーな・・」と感じる人は、
まだ勉強不足だと思う。
だってすべて手作りとして考えたら本当に安いと思うし、
あれだけ人に愛される車はないと思うぐらいだから。
それにあんなに環境にやさしい車はないよ。
みんながみんな大切に乗って、譲り渡したあとでも
次のオーナーがきちんと大切にして、
「すてない」わけだから。
まあとにかく、今ある金に縛られるんじゃなくて、
「やりたいことをするために今何をするべきか」が
大切になるんじゃない。